UXシンポジウム沖縄2015に参加してきた

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2015年7月11日開催の「UXシンポジウム沖縄2015 produced by CREATIVE ISLAND」に参加してきました。

ちゃっかりライトニングトークにも出演させて頂くことになりまして、気合を入れて沖縄入りしました。本当は一般参加として気軽に参加するつもりで、構想段階の2月位からホテルと飛行機を予約していたのですが、肝心のイベント申し込みがなんと申し込み開始から1日で埋まってしまい、気付いたら参加枠がLT枠しかなかったというオチ。

台風9号、10号の影響で飛行機が相次いで欠航する中、肝心の浅野先生の飛行機がなんと欠航という情報が。浅野先生なんとか振替便が確保できたとのことで、安堵して沖縄行きの飛行機に僕も乗りました。僕の便も2時間遅れ。

シンポジウムの印象について

まずは坂田さんの講演から。初学者にもわかりやすく、UXやサービスデザインの概念を砕いたメッセージで教えてもらいました。UXやサービスデザインの概念は抽象度が高く幅が広いお話なのですが、身近な例にたとえて坂田さんなりにとてもわかりやすくご説明されていました。

次に、ライトニングトーク枠。僕含めて、地元沖縄の方、UX Fukuokaの2名、全員で6名のライトニングトークです。

技術者の方やライターの方、プロジェクトリーダーの方、ディレクターの方など、色々な立場の方の視点から、自社導入事例や自分の職域の中でのUXとの関わり方を聞いた気がします。

自社の製造プロセスの中に、UXの導入をしたいけどハードルがあるという方は多いと思いますが、株式会社レキサスの大西さんの「企業が上手にUXを導入するポイントとその事例」のお話はとても参考になりました。
会社の規模が大きくなるにつれ、新しいことを試すという機会を作るハードルは高くなりますが、大西さんの事例はうまく企業にUX文化を根付かせた好事例になると思います。きちんと体系化しながら自社のプロセスの中に落としみつつ、パワーが必要な所は押しこんで行くそのバランス感。そして各メンバーに必要なフォローをしていくという細やかな事例のお話が聞けたのが大きな収穫でした。

同じレキサスのプロジェクトでデザイナーの立場でUXを語って頂いた山口さんの話も面白かったです。スライドも見やすく色使いも素敵でした。さすがデザイナー。UI/UXの改善事例は、実装やデザインをやられる方にとっては大好物のトピックですね。

ライターの大見謝さんのお話も勉強になりました。元々バーテンダーだったという異色の経歴ですが、元々サービス業をやられてた方って、UXの相性がすごく良いように思います。サービスを体に染み込ませている方なので、体系化されたUXの概念がすっと入っていくんだろうなと感じました。
スライドの中で紹介されていた「AIUEUX」 必見です。

ヨシカワさんのUX Fukuokaの運営を通じての学びの姿勢は、僕自身、身につまされました。運営者としての視点と、参加者としての視点、そして運営メンバーの視点を持って、それら全体を一つのビジネスモデルとして上手く回る仕組みを模索しながらも3年も続けられたことに脱帽です。

浅野先生の講義も、僕自身何回も受けていますが、浅野先生のお話は何度聞いても新たな発見があり、聞いていて空きが来ません。浅野先生がマイクを持つと、会場の全員が「生徒」になってしまいます。不思議な力ですね。

僕のスライドについて

僕のスライドはというと、UXのプロセスの中でも、僕は「ユーザー理解」がとても重要なパートだと感じていて、(その他のパートも重要ですが、特に僕個人的に感じている印象として)ユーザー理解の中でも、最近感じていた、empathy(共感)の質について、「客観的共感」と「主観的共感」の2つの共感があるんではないか?という発見と、その違いが「キャズム」を生むブラックボックスになるポイントではないか、という仮説と発見についてシェアしました。

ユーザーインサイトに"ダイブ"するユーザー理解を深める 「主観的共感」の重要性 from Yuki Yakushijin

ユーザーの調査を進める手法については、最近色々な本や情報が溢れているので、ユーザーインタビューをしたり、ペルソナを作ったりといことに慣れている方も増えてきたと思います。ただし、それをどう使うのか?については、まだまだ使いきれていない方も多いのではないでしょうか。

ユーザーシナリオ一つとっても、バリューシナリオ、アクティビティシナリオ、インタラクションシナリオ、と分解しながら、ユーザータスクを抽出したり、という手法レベルのやり方は情報として仕入れ、実践することは誰でもできると思います。

ただし、その手法を「客観的な情報」として処理するのか、「まるで自分がそのユーザーになったようにありありと感じながら味わうのか」で、同じ手法をやったとしても結果は違ってくると思います。

分析的な視点として、客観的に情報を扱うことはとても大切です。ユーザー調査の段階で主観が入ってしまうと正確な分析はできないので、「客観的共感」が悪い訳ではありません。ただし、共感という意味においては、「そのユーザーの立場を味わい尽くす」という共感は、より深い洞察として気付きが得られます。

ISO9241-210 の中でもUXについて

  • 感情、信念、嗜好、知覚、生理学的・心理学的反応、態度、達成感
  • ユーザーの内的および身体的状態、態度、スキルとパーソナリティ
  • 知覚的・感情的な側面をユーザービリティに含む

等、ユーザーの内面に対するアプローチの有用性を語っています。

その面において、客観的な共感に加え「主観的な共感」を扱っていくアプローチについても、そろそろ議論が始まっても良いのではないかと、個人的には感じていますし、僕自身の関心は、おそらくUXの中でも、この共感の部分に絞られていくと思います。(準じて、メンタルモデル、傾聴、視座の転換、Co-Creation分野かなと。)UX HIROSHIMAは基礎的な所を地道にやっていきたいと思っていますが・・・。

主観的共感とは

主観的共感とは、何を指しているのか。例えば「親になって初めて親の気持ちがわかる」という経験をされた方は、親の気持ちを子供の立場として理解する事とは、次元の違う実感を伴っているはずです。まさに目からうろこ状態。

例えば、部下を初めて持った方が「上司になって初めて上司の気持ちがわかった」という状態。「経営者になって、はじめて経営者の気持ちがわかった」という状態です。

僕も、経営者の駆け出し&はしくれとして奮闘する中で、サラリーマン時代、個人事業主時代とは、全く違う視座が得られました。こんなに大変なの!と日々もがいていますが、その状態を実感するに至ったのは「その立場になって初めてその人の気持ちがわかる」という実感が得られたからです。

それが、「主観的共感」です。

キャズムは、ユーザーとの境界線があるからこそ生まれるものではないかというのが僕の洞察で、この「主観的共感」を得る姿勢を身につけることで、自分事としてユーザーを感じたとき、そのキャズムは消失するのではと思っています。消失するというか、キャズムを作っていたのは、自分自身だったという感覚を得るということかもしれません。ようは、自分が創りだしているだけですね。

もちろん他のやり方でキャズムを超える有用な方法はたくさんあると思います。プロトタイピングで失敗を経験し、少しずつ正解を導き出す方法。それらを否定するつもりも全くありません。

ユーザーのニーズにダイブするワークショップの開発

このスライドを作る発端となったのが、私の仲間であるマーケティングジャーニーラボの古江氏との共催ワークショップです。古江氏は、イノベーション理論のU理論をベースとして、世界の紛争地域での対話や、食糧危機の問題解決の場で実践されているダイアログの手法をマーケティングに導入し、独自のワークショップを開発しています。その一環として、U理論とUXのアプローチと掛け合わせることで、様々なステークホルダーとの困難な局面を乗り越え、新しい価値を生みだす為のマーケティングを共同で開発しました。

その中で大きな発見だったのが、共感にも「客観的共感」「主観的共感」があるということでした。

古江氏と、私とで、ワークショップ自体をプロトタイピングしながらまずは体験してみると、二人とも新しい視座が生まれました。その後、実際に有料のワークショップとして多数の参加者のみなさんとワークを開催したところ、みなさんかなりの手応えを感じられていたことに興奮しました。

この手法を試すと、ユーザー調査の結果、ペルソナ、シナリオの扱いに深みが加わり、まさしくユーザーの内面そのものを、言語に置き換えることなく、非言語な状態のまま実感としてビジネスの文脈で扱っていくことが可能なことがわかりました。

このワークに関しては、別途セルフレポートとして、後日ブログに公開したいと思います。

全体的な雑感

全体のシンポジウムを終え、懇親会も含めて僕が感じたことが、ライトニングトークでお話する人たち全員が、ジャッジメンタルなムードに晒されているんだな、という点でした。

みなさん一様に「登壇するのが怖い」といった趣旨の話をされます。何か間違ったことを言うと思いっきりディスられるというような恐怖を感じているように思いました。何が原因なのか良くわからないのですが、ジャッジメンタルなムードは存在していたんだと思います。

教科書としてのUX、自社サービス開発でのUX、受託でのUX、僕のような地方案件でのUX。色々なアプローチや実践の形があると思います。基礎的なことはしっかり学びつつ、常にオープンマインドな姿勢でいたいな、と思いました。僕自身、ジャッジしてるトーンを発していないか?そんなことをなんとなく内省しながら過ごしていたように思います。

そして、僕のような無邪気なスライドがあっても良いんじゃない?ということを、沖縄の海が教えてくれたような、そんなUXシンポジウム沖縄2015でした。

あと、レキサスのトッキーさんはめちゃくちゃ話をわかってくれてて、ハート鷲掴みにされました。言葉の間違いの指摘もサンキューでした。また会いたい!運営に関わった方々、そして主催の白鳥さん大変お疲れ様でした!

最後に、帰りの日に、ちょっと時間が開いたので、バイクで海を見にいきました。リアルなブリコラージュをしてきて、良い景色に出会えたのと、やどかりが可愛かったので動画アップ。

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