四国行脚 パート2 高知県四万十市 ねはんの里編

しゅりの里さんを出発して、途中土佐清水市のビーチなどに寄り道して 次は「ねはんの里」さんへ。

ねはんの里さんも、養鶏農家さんで、しゅりの里さん同様、放し飼いによる卵を生産されています。餌などにもこだわって、自分の食費よりも鶏さんの餌にお金をかける程^^;

しゅりの里さんのブログでねはんの里さんのことが紹介されていて私も知ったのですが、千葉から高知へIターンによる新規就農をされています。現在養鶏農家1年目。

ねはんの里さんは、そういう新規就農の日々のリアルをブログで赤裸々に紹介されていて大変興味を持ち、以前よりブログでコメントをしたり、メールでやりとりしていたのですが、今回一晩泊めて欲しいとお願いした所、泊めて頂くことになりました。

そんなリアルな新規就農生活の真っ只中のねはんの里をレポートします。

ねはんの里は、ナビの住所が対応しておらず、結構迷いつつもなんとか到着。しゅりの里に比べると割と都会な所にあります。麓にはコンビニもありますし、「四万十市四万十農園あぐりっこ」という施設もすぐ下にあります。   この方がねはんの里の主、池田さんです。

ねはんの里の未使用の農場。野球場よりデカイです。

ねはんの里の未使用の農場。野球場よりデカイです。

池田さんは遺伝子関係の大学院を出て、都内の大手SI企業のバイオ部門で研究や営業をし、その後コンビニ業界に転身、そしてお遍路の旅に出て、そこで地元の人たちの優しさ、お接待に触れ恩返しがしたいということで、高知で新規就農に踏み出した異色の経歴の持ち主。

元々就農したいという思いを抱きながら、色々な業界を経験し、念願かなって高知で就農された方です。

 

前職の経歴で、今の私の仕事と非常に被る部分があって、色々話し込んでしまったのですが、「あの時は給料たくさんもらってたけど、仕事は全然面白くなかったねー」とのこと。

色々と近況などをひと通りお伺いしつつ、早速農場を案内していくれました。   ここが鶏さんたちを放し飼いにしている農場。もうそろそろ違う場所へエリアを移動させるタイミングだそうです。 一羽あたりの広さで言うと、恐らく日本一ではないかという事もうなずける広さです。

ねはんの里の農場

ねはんの里の農場

 

卵の集卵をお手伝いすることに。

手作りの鶏舎の中で集卵をお手伝い

手作りの鶏舎の中で集卵をお手伝い

 集卵は何度か八尾農場さんでも体験・取材させてもらった事はありますが、産みたての卵を温めているほやほやの卵を集卵するのは初めての体験でした。 産みたての卵って温かいんですよ。

それが当たり前の事ではあるんですが、実際手に取ってその暖かさを感じて、思わず驚いてしまいした。普段スーパーや冷蔵庫の中で冷えている卵しか知らない人にとっては、そんな当たり前の事を知っている人がどれだけいるか。改めてハッとさせられました。

 

外ににも卵を生むので、外にも集卵に。ねはんの里の番犬、その名も「ねはん」ちゃんも一緒です。

農場のにわとりと、犬のねはん

農場のにわとりと、犬のねはん

ねはんの瞳がかわいすぎです。二重だそうです。紀州犬で、元々はしゅりの里で飼われる予定だったのを譲りうけたんだそうです。それもまた出会いですよね。

ねはんの里のねはん

ねはんの里のねはん

 

放し飼いエリアの上の農場から見下ろすとこんな感じ。

上から農場を見下ろす

上から農場を見下ろす

 

お遍路さんの遍路道の丘の上にある感じで、丘の下の町が見下ろせる素晴らしいロケーション。   一段上にあるこの農場はまだ未使用の農場で、鶏さんの飼料を育てる予定だそうです。

東京ドーム何個分?と聞きたくなる広さ。

東京ドーム何個分?と聞きたくなる広さ。

 

ねはんがダッシュで遠くまで走ってあっという間に小さくなるレベル。めっちゃ広い。

ねはんはどこにいるでしょうか?

ねはんはどこにいるでしょうか?

 

放し飼いエリアに戻って、早速お仕事。「じゃぁ愛媛あいちゃんでも作ってみようか」と。へ?愛媛あいちゃん? と思ったら環境浄化微生物の事です。EM菌とかもそうですが、こちらは手軽にすぐ出来る。しかも愛媛の方が開発したようです。知らなかった。

愛媛AIちゃん

愛媛AIちゃん

ヨーグルトと納豆1パック、ドライイースト。それを樽の中にぶっこみます。あと、米ぬかを適当にばっさばっさと入れる為、米袋に入ったぬかを掴んでたるの中に入れた、、と思ったら米だった。どうやら暑さに若干やられて、手に握った感触が既に米と米ぬかの区別も付かない状態だったようです。

投入した途端「それ米やん」と池田さんの素早いツッコミにヒヤリハット。というか既に投入されちゃってしまいましたが、再び米ぬかを投入し、後は水をじゃーっとかけて空気を入れて撹拌し終了。これを鶏舎の中に撒けば臭いも出ないし、畑に撒けば微生物が活発になって育成も良くなります。色々良い事づくし。これは流山でも実践しなければ。

1日の食費を200円程度に抑えている池田さんは、ここでも1日の食費よりも経費をかけて農場の為に投資をします。 そして、放し飼いエリアの隣にある畑へ。色々紹介してもらいました。

アスパラ

アスパラ

かぼちゃととうもろこし

かぼちゃととうもろこし

地這えきゅうりとかナスとかマリーゴールド

地這えきゅうりとかナスとかマリーゴールド

「センチュウ対策、やってる?」というのは、中央のマリーゴールドの事です。畑にはセンチュウという悪さをする小さい虫が発生する事があるのですが、マリーゴールドはそのセンチュウの対策に良いのです。ピカチュウではありません。 そういえば流山の畑にもマリーゴールドの種を買ってそのままにしてたので、明日にでも植えてこよう。

 

スイカもほらこの通り。

スイカも丸々大きくなっています

スイカも丸々大きくなっています

 スイカとか、鳥対策の網とかしなくて大丈夫なのかと聞いた所、このへんは猛禽類がいるので、カラスや山鳩など悪さをするような鳥はあまりこないのだそうです。ほー。生態系って素敵。ビバ生態系。 種まきした場所と全然違う場所で成長しているワープしそ。

 

ワープするしそ

しそだって好きな場所で生きていきたいらしい。

  その他、色々控えている苗。

虹が出てます。

虹が出てます。

ひかげで一休み

ねはんは日陰で一休み

野菜つくりも雑草の中で特に耕したりもせず、不耕起でやられています。 私と違って農業についてきちんとしたベースがあるので、最小限の手間で不耕起、自然栽培が成立しています。最高の餌を与えた鶏さんの鶏糞をこの野菜栽培エリアへ循環させるという循環農法も実践されています。「農業はもっと手間をかけずに出来るはず」と以前のブログで言われていましたが、それを実践されている訳ですね。

 

新規就農1年目でここまでやられているのがものすごい事ですが、研究者としての素質や、農業のベースをきちんと押さえているからこそなのかなと感じました。 凄い適当にやってるようにも見えますが、手間をかけない、という事はそういう風に見えるでしょう。実際適当なだけかもしれませんが^^;

 

で、続いては、地元の産直「サンリバー四万十」へ卵を出品するので、そのお供に。

四万十川〜。

四万十川〜。

産直システムで商品を登録する

産直システムで商品を登録する

産直システムは使いにくいんだよねー。売れたってだけ定時にメール来てもわかんないよねー。以前の職業柄、そいういう所にも目が行く池田さん。要件定義位ならやるよー。の図。じゃぁわたくしUI設計をやらせて頂きます。なんて。

 

卵を並べる池田さん。コンビニ時代の経験を生かし売り場をつくっています。

卵を並べる池田さん。コンビニ時代の経験を生かし売り場をつくっています。

コンビニ業界も経験した池田さん、売り場作りもかなりこだわっています。商品を並べる目線の高さ、飾りに使う素材、お客さんの心理なども色々と考えて売り場を作ります。農場にいる時とはまた違った表情で熱がこもります。

 

売り場作り

ひと通り並び終える

「なません」ねはんの里の卵のネーミングです。

「なません」ねはんの里の卵のネーミングです。

 「なません」とは、生専用たまごの意味。生でどうぞ味わってください。という事です。実際たまごかけご飯にして、醤油をたらして軽く混ぜるだけで、最高にうまいですよ。なませんとは、うまいネーミングだと思いますが、みなさんいかがですか?

 

一緒になって売り場を考えてくれます

一緒になって売り場を考えてくれます

ひと通り並び終えて、サンリバーの店長さんも交えてあーでもない、こーでもない。店長さんや他の店員さんも混じって一緒になって売り場やポップを考えてくれます。その場で和気あいあいと色々なアイディアが出てきます。サンリバーの方もこんなに熱心になってくれるんだなぁと感心しました。

 

最終的に、店長さん自作のかわいいポップも取り入れて、こんな感じに。女性目線の意見も大事ですね。

売り場完成!

売り場完成!

しかも、レジ前の一等地の棚に置いてあります。ポップにもねはんの里の卵の秘密が色々と書かれていますよ。ぜひ手にとってみてくださいね。

 

そーして、一旦池田さんの自宅に戻って、晩ご飯を作ることに。 当初、「大根の根っこをかじるような生活をしてるので、おもてなしは出来ません」と言われていたのですが、新鮮な野菜を使った天ぷらを用意していただきました。最高のおもてなしですよ。揚げたてを横でつまみ食いしてみたりして、めちゃくちゃ旨し。料理写真はなし。ピーマンなんか、何も付けずに生で食べても甘いんです。フルーツみたいに。びっくりしました。 夕焼けが最高に綺麗じゃないですか。

ねはんの里の夕日

ねはんの里の夕日

夕日が綺麗だと感じる事。実は当たり前のようで案外難しいかも。普段東京にいると夕日をゆっくり眺める時間なんてないなぁ。としみじみ。流山の畑も夕日が綺麗ですが、やっぱりこういう風景って、生きて行く上で絶対に必要な気がするなぁと思いつつ、一旦農場へ戻り荷物やら置いて、近所のいやしの里でお風呂。男二人で露天風呂に設置されたビーチチェアーに寝転がって、フルチンで今までの人生を語り、これからの夢を語り合いました。蚊にも刺されました。

 

その後は、農場に戻って晩酌。

晩酌。自給自足素材で。

晩酌。自給自足素材で。

池田さんが作った野菜や、仲間の方からのおすそ分け野菜などで作った天ぷら。今の池田さんにとっては、これら食材ひとつひとつがとっても貴重で人に食べさせる余裕なんかないハズですが、こうして振舞っていただきました。

池田さんにすると何日分の食材を使った事になるのか。また、仲間の方からおすそ分けしてもらった野菜なども、お金ではないありがたさがあります。

なので、私にとっては、この食事はレストランで食べるような食事とはまた違った味わいがあり、ありがたさが感じられます。おっさん二人が汗だくで手づかみで揚げた天ぷらがですが、それも最高のおもてなしですよ。

そういう口に入るまでの食べ物の背景やコンテキストが、今の日本の食には欠けています。お金で何でも買える、もしくはそう思い込んでるからありがたみも感じ無い。

 

それは生産者にとっても同じで、安く叩かれ効率を求められ、良いものも悪い物も関係なく「規格」に当て込まれて流通される野菜。誰が食べてるかわからないから、あらゆる手を使って楽に安定的に「生産」される。

そういう所に食の根本的な問題が潜んでいる気がします。 最後は同じ話しかしてなかったような気もしますが、私の思いは通じたのでしょうか。池田さんも色々と今後の事などを語ってくれました。

などと酒が進むにつれ色々と熱い話がどんどん暑苦しい話になってきてしまい、最初はビールだったのが、調子にのって高知といえば、土佐鶴だろと、さっきのサンリバーで買い込んでしまって、どんどん酒が進んでしまいました。

 

そういえば、1日の食費が200円と言ってたんですが、何が200円なのかと尋ねると「安い発泡酒」だそうです。なるほど。適量のお酒は大事です。本日買い込んだのはアサヒのドライでしたが「久々にビールのんだけどやっぱビールうめーなー」という事でした。

 

だいぶ夜も更けてきて、そろそろ寝ようという事で、私のふとんまで用意して頂き、気持よくねはんの里の農場で宿泊させていただきました。

虫の音、風のおと、遠くから聞こえる波の音。農場に吹く心地よい風。クーラーも必要ない。都会的なノイズが一切ない中で気持よく就寝出来ました。池田さんは私のいびきで寝られなかったかもしれません、、。

 

調子にのって土佐鶴を飲んでしまったのと、昼の暑さでだいぶ汗をかいていたのもあり、夜中に気持ち悪くて何度か目がさめ、吐き気が止まらなかったので、麓のコンビニまで行き、水分補給や塩分、糖分など補給しながら休んでいました。

 

完全に二日酔い。何度もリバース。ラストリバー四万十の土手でリバースしまくりです。 気がついたら四万十川の土手のベンチで明るくなるまでグロッキーになっておりました。

 

これはいかんと、6時過ぎくらいに気づいて、ねはんの里に戻りましたが、既に池田さんは鶏さん達の餌の調合をされていました。手伝おうと思ってたのですが、まだ思いっきりグロッキー状態。 なんとか立ち直ったのが9時位だったでしょうか。

 

そして外を見ると曇り空。台風マーゴンがやってきています。

曇り空

曇り空

予定としては、この日、しゅりの里へ池田さんが用事があるので、一緒にしゅりの里まで行って、そこでお別れしようと思っていたのですが、台風が直撃コースなので、色々と台風対策もしないといけないだろうし、こんなグロッキー状態で私がいても足手まといになるだろうと思って、急遽早めにお別れする事にしました。

たまごを買って帰りたかったのでお願いすると、「お金はいらないと」いや、そこは買わせてください。ダメですよ。お金いらないとか言っちゃ。「じゃぁ、自分で好きなの取ってきて」と言って頂き、集卵させてもらいました。

ねはんも集卵のお手伝い


集卵から選別、パッキングまでやらせて頂いて、ホックホクに嬉しい。やっぱりこうして体験させてもらえるのって消費者としても楽しいですよ。
ねはんと戯れる池田さん
ねはんと戯れる池田さん

ねはんと戯れる池田さん

ねはんもまだまだ遊び盛りで、近づくと「遊んでー」と寄ってきてくれます。きっと立派なパートナーに成長する事でしょう。
今回、光栄にも私が初のねはんの里の宿泊者となった訳ですが、台風で事務所が飛ばされないかものすごい心配でした。「最初で最後の宿泊者になるかもね」と笑って言ってましたが、、、。後日のブログでなんとか大丈夫だったのを見て安心です。
結局何しに来たのかよくわからないような感じでしたが、今後も連絡をとり合って、色々関わって行きましょう、という事でお別れしました。
ねはんの里の遍路道にはお遍路さんが。

ねはんの里の遍路道にはお遍路さんが。

ねはんの里の方向の写真を撮るお遍路さん

ねはんの里の方向の写真を撮るお遍路さん

お遍路さんも思わず写真に撮りたくなるような、そんな風景にあるねはんの里という事で、良いオチが着いた今回のねはんの里編でした。
・・・

新規就農というのはどういうものか。夢や希望に満ちて、またはロハス的な、牧歌的なイメージに憧れてこの世界に飛び込むのは良いが、そこには日本の農業の厳しい現実が待ち構えています。
そんな厳しい新規就農一年目の池田さんは、現実問題「来月の鶏さんの餌代もどうなるかわからない」というような切迫した状況です。でも、そんな危機的な印象は池田さんから一切受けません。
厳しい現実を受け止め、ある意味「なるようになる」という諦め、居直りの覚悟のようなものが根底にあって、そういう苦しい状況も笑い飛ばせるような「ブレない強さ」「根拠のない自信」みたいなものを感じました。本当にやりたかった事をやっている、偽りのない生き方をされてるからこそではないでしょうか。

そして、そんな池田さんには、なんとか池田さんを支えたい、応援したい、という人が自然に吸い寄せされるように集まります。実力不足ですが、もちろん私もその一人です^^;

そういう池田さんの不思議な魅力というか、人間力のようなものがあって、ねはんの里の卵を守りたい、池田さんを応援したい、と心から思える。今のねはんの里のお客さんも、「卵が良いのは間違いない、池田さんを、ねはんの里を応援したい!」そういう思いを持ったお客さんばかりだと思います。

そこには生産者と消費者の間の、ものすごい強い絆がある訳です。

マーケティングって、本来こういう事じゃないかと思いますし、今後、池田さんのような志もあり、本当に良いものを作りたい、と熱い想いを持つ農家さんが増えれば、きっと日本の食を取り巻く環境も変わっていくんじゃないかと思います。

日本の食が変わる時、日本のあらゆる事がちょっとずつ変わっていくはずです。

「日本一の卵を目指す」というような野心的な狙いは池田さんには無いかもしれません。しかし、池田さんが追い求める世界が妄想から現実に変わる時、池田さんの卵は、結果として日本一の卵と言われる程の卵になっているだろうし、ねはんの里もきっとどこにもない、世界に誇れる里になっていると感じました。

小手先だけ、テクニックだけのマーケティング、瞬発力だけの宣伝で着飾った商品。そんなものは既に陳腐だと、日本の多くの消費者は気付き始めています。ねはんの里は、そういうこれからの日本の価値観さえ変えてくれるような、そんなポテンシャルを秘めてるように思いました。この卵が残らなきゃ嘘だよ、と思う位です。

「金の延べ棒を持って来て」と、冗談で言われていましたが、池田さんは既に金の卵を生産しています。後はいかに食卓にお届けする事が出来るか、そして、この卵を通じて、ねはんの里の理念、考え方を届ける事が出来るか。ですよね。

という事で、みなさん、この記事を見たら、ポチっとねはんの里のたまごを買ってみて下さい。

ねはんの里 ネットショップ:http://nehan-village.com/ 

新規就農 The リアルが綴られているブログはこちら:迷子の大人たち

 

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